がんになって、よかったこと。

ステージ4の大腸がんになっておこった生活や思考の変化を率直に書きます。ネガティブなことばかりではなく、実はポジティブなことも多いのです。

20180528_がんサバイバーが経験談を語る意味、意義について。

先日、キャンサーネットジャパンピンクリボン運動などの運営団体)が主催する、がんサバイバー(がん闘病経験者/その遺族親族)向けのスピーキングセミナーに行ってきました。32歳でがんになり、2度の転移を経ている自分の経験や感じていること考えていることは、何かしら社会の役に立つのかなとぼんやり考えて、こうしてブログを書いていましたが、でも具体的にどう役に立たせられるのか、そもそも僕の言葉や経験談にニーズがあるのか、など知りたいことがたくさんあったので、思い切って応募をし、運よく選んで頂き、参加してきました。

 

そこでは同じがんサバイバーであるという共通点を持ちながら、様々な立場領域でご活躍されている方々のお話を聞くことが出来ました。マスメディアの方、厚労省の方、米国に本拠地を置く医療コンサルの方、NPOの方など立場は様々ですが、みな精力的に医療、制度の改革に向けて声をあげ続け、行動をとり続けている方々でした。また、本セミナーは今回5回目を迎えており、過去受講者の方々のご活躍の様子なども伺うことが出来ました。

 

上記の方々のお話に共通していたのは、以下の3点でした。

『患者のことは患者にしか分からない。患者と患者以外には隔たりがある。だから積極的に発信し、社会に理解と変革を促す必要がある』

『理解と変革を促すには時間がかかる。すぐの結果は求めず、地道に進み続けること』

『最初の一歩を踏み出すことが大事である。』

 

そしてセミナー後半では参加者自身が自分の経験談を5分間のスピーチ原稿にするというワークを行い、うち数名は実際にスピーチをするという機会を頂きました。僕自身も立候補し、講師含め40名近い方々の前で、初めて自身の闘病体験の一端をスピーチするという機会を頂きました。指先が冷たくなるほど緊張しましたが、自身の経験をしっかりと言葉にし、複数の方に伝え、リアクションを頂くことで、自信を得ることが出来ました。

 

その中で、ぼんやりとですが、自分の出来ることが見えてきた気がしました。

 

がんはその言葉自体が非常に重く暗いイメージを持っており、また簡単に死を連想させる言葉、病気です。でも実態としては非常に多様な症状病状があり、施される治療も必要なサポートも結構ケースバイケースな病気です。そして最近は抗がん剤の進化や早期発見早期治療の定着などもあり、簡単には死なない病気にもなってきました。きちんと状況を理解して適切な治療を得られれば、決して即死につながる病気ではない。

 

にも関わらず、定着しているイメージが強烈過ぎて、がんという言葉に思考が停止してしまう人がきっとまだまだ多い。

 

そうならないために、患者目線での実態説明と、『意外に元気な姿』を見てもらう必要があるなと思いました。それによりがんという得体のしれないものの正体を少しでもつかんでいただければ、いざ自分や自分の大事な人が罹患しても、必要以上に恐れずに済むのではないかと思いました。

そして、これから罹患してしまった人たちやそのご家族に対して『ここに仲間がいるよ、大丈夫だよ』と旗を振ってあげること。

 

これらが僕にできることだと思いました。

 まずは出来ることから一歩ずつ。