がんになって、よかったこと。

ステージ4の大腸がんになっておこった生活や思考の変化を率直に書きます。ネガティブなことばかりではなく、実はポジティブなことも多いのです。

20180131_入院生活備忘録2‗手術直後~ICUまで

■手術直後~ICU 12/4~5

・ぼんやりと目が覚めだす。ICUの中にいることは何となくわかる。眼鏡をはずしているため全く見えない。全体的にぼんやりした世界。部屋は明るい。蛍光灯の真っ白な世界。

・手術後特有の震えるほどの寒気と吐き気。目覚めてすぐ二度ほど吐いた気がする。体温は確か38度台。まあこんなもん。傷は殆ど痛まない。酸素マスクを口に当てられる。医師や家族がかわるがわる声をかけてくるが、こちらはまだ麻酔から目覚めたてなのでまともな返事が出来ない。成功したよ、というのだけなんとか聞き取れて、うなずく。

・体を見ると右手人差し指には血中酸素を確認するクリップ。両腕にそれぞれ点滴。左腕には加えて血圧を測るベルト。胸には心電図。背中には痛み止め。右下腹部からはドレーン、アソコからはおしっこを出すための尿管。上半身を中心に色んな管がついている。通算4度目、見慣れたもんだ。

・意識がそれなりにしっかりしてくるとやってくるのは暑さと喉の渇き。暑さは熱からくるもの、喉の渇きは酸素マスクからくるもの。マスクは術後数時間で鼻から吸うタイプのものに変わるが、絶えず風が送られている状況なので喉が渇くことは変わらず。手術後は傷の痛みなんかよりもこの二つのほうがよっぽど苦しい。看護師さんに頼んで氷枕と、うがいをお願いする。

・カーテンで囲われているので他の様子は分からないが、左右のベッドにも患者がいる。右はおそらく同じように術後の患者。左は…男性か女性かも分からない少し高めの声。ハキハキした話し方ながら高齢者特有のしゃがれた様子もあり、おそらく70代ぐらい?術後の待機という感じではなさそう。結構しっかり医師、看護師と話していた気がするが内容は…忘れた。うるさくて気になったのは覚えている。

・ここまでで確か16時。それからは30分から1時間寝ては喉の渇きで起き、ナースコールで看護師さんを呼んでうがいをさせてもらい、喉が潤ったらまた寝る、を朝6時まで繰り返す。深く寝ようと思っても喉の渇きと暑さで起きてしまう。まだ〇時、まだ〇時と起きるたびに思うのがしんどかった。『飲み物飲めるようになったら飲みたいものランキング』を考えながら時間をやり過ごしていました。ちなみに一位はなぜか普段飲まないレモンティー。

・唯一の楽しみは『うがい』。深夜の担当看護師が気が利く人で、吸い飲みに氷を入れて水を冷たくしてくれたのがとても嬉しかった。

・朝6時を過ぎると部屋の電気がつく。やっと視界に変化が生まれて、少しほっとする。担当看護師がやってきてベッド用のテーブルを出し、そこに鏡、アツアツのおしぼりと歯磨き、うがい用の容器を並べる。ベッドの背の方を上げ、鏡に自分の顔が映る。鼻に酸素のチューブを指し、テープで固定された間抜け面。それでも生きている自分の顔を見てほっとする。看護師はその間血圧、体温、血中酸素量(右手人差し指にずっとクリップがついていてそこで管理している)を確認し、酸素チューブはもういいということで外してもらう。鏡に見慣れた顔が映り、またほっとする。が、まだまだ体には何本も点滴やチューブがついている。やっと一つ目。まだ何本もある。チューブ数と自分の病人モード度合いは比例する。自分は今完全に病人だと再確認する。

・顔を拭き、歯磨きを終えると看護師がテーブルを片付けてくれて、『暇だと思うんでテレビでも見ててください』と言ってベッドの右側にある白くて大きなクレーンからテレビを見せてくれた。てっきり心電図とかに使われるモニターの一つかと思っていたそれから朝の情報番組が流れる。ICUでテレビが見れるとか初めて。すげー。

・その後8時ごろに看護師二人がかりで体をふいてもらい、9時ごろ医師が診察に。飲水の許可が出る、やったー。その後早速看護師さんを呼んで、コップ一杯の水を貰う。氷入りの冷たいやつをちびちび。美味しい。

・12時には歩行訓練開始。点滴棒にたくさんビニール袋をぶら下げ、そこから体にたくさんついている管がからまらないようにしながら注意してICU内を歩く。意外と広い。カーテンで仕切られたベッドがずらっと並び、部屋の中央には医師看護師の事務スペース。机やカウンターには12月という時節柄小さなクリスマスツリーやサンタの人形。真っ白な部屋の中でそのツリーや人形が妙に映える。自力で洗面台まで歩きまた歯磨き。

・14時に10階病棟の看護師が迎えに来た。車いすに乗り、10階へ。戻った個室はたった一日しか経っていないのにすごく懐かしくて、ホーム感を感じた。

・部屋に戻ってからは2度ほど歩行訓練をして、あとは基本的にベッドの上。枕元に積読しておいたマンガを読んでその日は終了。

 

続きは次回。