がんになって、よかったこと。

ステージ4の大腸がんになっておこった生活や思考の変化を率直に書きます。ネガティブなことばかりではなく、実はポジティブなことも多いのです。

20170910_生かされている意味を考えるようになったこと(誰かさんの自由研究)。

 

僕は無宗教ですが、目に見えない存在やその力はわりと信じているほうです。

各宗教で描かれる神々や仏教の世界、死後の世界や輪廻転生など、自分のいる生の世界以外の存在をなんとなく認めていました。

 

なんなら、僕らの世界を俯瞰で見て楽しんでいる誰かさんがいて、僕らは小学校の自由研究の時などに使ったアリの巣観察キットのように覗かれていて、時折砂糖や水や撒いたり心無い悪戯をされて生命力を試されているのではないかと思っているくらいです。

 

僕の身に降りかかる多くの幸運や災難はその誰かさんの気まぐれの優しさややんちゃな悪戯によるものだと、時々思っていました。

今回がんを患い、その思いがより強固になった今日この頃です。

 

僕はがんに罹っています。

そして、妻は薬剤師です。

告知を受けてから、彼女は僕以上に病気のことを勉強し理解し、説明をしてくれます。勇気づけてくれます。

もともと勉強家で大腸がんについても勉強していたことから、その筋の有名な先生、病院ともコネクションを持っており、そのおかげで有意義なセカンドオピニオンや悔いのない転院先選びが出来ています。

 

彼女との出会いはもう10年以上前にも関わらず、まるで今自分の置かれている状況を予見しているかのようなペアリング。惚気るわけではないのですが、奥さんがこの人で本当に助かったなぁと思います。

彼女以外家族や友人に医療従事者がいないので、もし彼女と結婚していなければ、もっと家族でてんやわんやして、わけのわからん民間療法とかも有難がっていたかもしれないです。

 

また、いやらしい話ですが、今日までの僕の人生は、割と順風満帆だったと思っています。

高校時代は父親の転勤について行って海外のインターナショナルスクールを卒業させてもらい、

大学は帰国子女枠というチートルートで自分の当時の学力では到底考えられない有名私大に入れてもらい、

社会人生活は紆余曲折ありながらも11年目、収入面も環境面も全く不満なく過ごせています。

プライベートにおいては、20代半ばで結婚し、娘二人を授かり、昨年は都内に家も購入。

京都の田舎者から都内在住のビジネスマンへ。十分すぎる成り上がりですし、自分なんかにはもったいないぐらい幸せ過ぎる人生だと思っています。

 

だから、今自分がステージ4のがんと向き合うのは、むしろタイミングがすごくいいと思っていますし、今までの幸福との帳尻が不思議と合うのかもしれないとさえ思っています。これがもう少し早かったらもっと仕事や家庭との両立に苦悩していたでしょうし、割に合わないと不幸感が増していたかもしれません。

もっと後だったらもしかしたら子どもの教育費がかかるタイミングと重なって金銭的に苦しんで、やはり不幸感が増していたかもしれません。

経済的にも精神的にも、ある意味一番病気を受け止めやすいタイミングに、罹ったなと思っています。

 

こんなに幸運と災難をバランスとタイミングよく降りかけてくる、誰かさんはとてもセンスがいいと思います。そして、苦しめ過ぎないあたりがなんだか優しい奴だと思います。

 

僕は割と従順なM気質なので、そういう誰かさんの思惑を裏切ってやろうとか鼻を明かしてやろうとかは微塵も思っていません。

ただ、この観察記録が意味のあるものであってほしいなとは思うので、与えられた環境と状況の中で精いっぱいあがいて、充実した自由研究にしてやろうと思います。

 

ちゃんと見てろよこの野郎。